IT・Web業界の売却を検討するなら、IT領域の事業価値評価に精通した仲介会社を選ぶことが最も重要です。 SaaS、受託開発、SES、Web制作など、IT企業の価値はARR(年間経常収益)やエンジニア数など独自の指標で評価されるため、業界理解のない仲介会社では適正な売却額を引き出せないリスクがあります。
この記事では、IT・Web業界のM&Aに実績のある仲介会社9社を、手数料体系・IT業界の成約件数・対象企業規模・サポート体制の4軸で比較します。
この記事でわかること:
- IT業界に強いM&A仲介会社9社の特徴と手数料の比較
- IT特化型・大手専門チーム型・プラットフォーム型の3タイプの使い分け
- 自社の年商規模別に最適な仲介会社の選び方
- IT企業のM&Aで失敗しないための注意点
こんな方に向けた記事です:
- SaaS・受託開発・SES・Web制作会社の売却を検討している経営者
- IT企業の事業承継を考えているが、どの仲介会社に相談すべきかわからない方
- 仲介会社ごとの手数料の違いを把握してからM&Aを進めたい方
IT・Web業界に強いM&A仲介会社9社の比較一覧表
まず、本記事で紹介する9社の主要スペックを一覧で比較します。手数料体系や対応規模は各社で大きく異なるため、全体像を把握したうえで詳細を確認してください。
会社名 | タイプ | 着手金 | 成功報酬 | 最低報酬 | IT業界実績 | 対象規模 |
|---|---|---|---|---|---|---|
ウィルゲートM&A | IT特化型 | 0円 | レーマン方式 | 200万円 | 累計86組 | 小規模〜大規模 |
GARAGE | IT特化型 | 0円 | レーマン方式(1〜5%) | 500万円 | IT領域80社超 | 要問い合わせ |
パラダイムシフト | IT特化型 | 非公開 | 非公開 | 非公開 | 年間30〜40件 | 1億〜50億円 |
ストライク | 大手専門チーム型 | 0円 | オーナー受取額レーマン | 要問い合わせ | IT成約120件超 | 売上2億〜170億円 |
日本M&Aセンター | 大手専門チーム型 | あり | レーマン方式 | 要問い合わせ | IT累計350件超 | 幅広く対応 |
M&Aベストパートナーズ | 大手専門チーム型 | 0円 | レーマン方式 | 要問い合わせ | 非公開 | 中小企業全般 |
M&Aクラウド | プラットフォーム型 | 売り手完全無料 | 0円(売り手) | — | IT上場企業の約35%が利用 | スタートアップ〜中堅 |
M&A総合研究所 | テクノロジー活用型 | 0円 | 完全成功報酬 | 要問い合わせ | 非公開 | 中小〜中堅 |
fundbook | テクノロジー活用型 | 0円 | 完全成功報酬 | 要問い合わせ | IT事例多数 | 中小〜中堅 |
※手数料情報は2026年4月時点の各社公式サイト掲載情報に基づきます。実際の費用は案件規模・条件により異なるため、必ず各社に直接ご確認ください。
関連記事: M&A仲介会社の手数料体系について詳しく知りたい方は「M&A費用の相場と手数料の仕組み」もあわせてご覧ください。
IT業界のM&A仲介会社は「3つのタイプ」に分かれる

IT業界でM&A仲介会社を選ぶとき、最初に理解すべきなのが仲介会社のタイプの違いです。大きく3つに分類でき、それぞれメリット・デメリットが異なります。
タイプ1:IT完全特化型(ウィルゲート・GARAGE・パラダイムシフト)
IT企業のM&Aのみを扱い、SaaS・SES・受託開発などの事業モデルに精通しているのが特徴です。
- メリット: ARR・MRR・ユーザー数など、IT特有の指標に基づくバリュエーション(企業価値評価)に強い。IT業界の買い手ネットワークが濃い
- デメリット: 大手と比べると成約件数・買い手候補数は限られる。異業種の買い手候補にはリーチしにくい
おすすめしないケース: 異業種(製造業・小売業等)への売却も視野に入れたい場合や、年商10億円を超える大型案件
タイプ2:大手のIT専門チーム型(ストライク・日本M&Aセンター・M&Aベストパートナーズ)
全業種を対象とするM&A仲介大手の中に、IT業界専門チームを設けているタイプです。
- メリット: 圧倒的な買い手ネットワーク(数千〜数万社)。東証プライム上場企業の信頼性。異業種からの買収ニーズ(DX推進目的など)にもマッチング可能
- デメリット: IT特化型と比べ、スモールサイズ案件(年商1億円以下)への対応は限定的な場合がある。着手金が発生する会社もある
おすすめしないケース: 年商1億円以下の小規模案件で手数料を最小限に抑えたい場合
タイプ3:プラットフォーム型・テクノロジー活用型(M&Aクラウド・M&A総合研究所・fundbook)
AIマッチングやオンラインプラットフォームを活用して、スピードとコストを追求するタイプです。
- メリット: 手数料が低い、または売り手無料のケースがある。成約までのスピードが速い傾向
- デメリット: プラットフォーム型の場合、専任アドバイザーのサポートが限定的。交渉や条件調整は自分で行う必要がある場合も
おすすめしないケース: M&Aの交渉経験がなく、アドバイザーに手厚くサポートしてもらいたい場合。複雑なスキーム(事業切り出し等)が必要な案件
各社の詳細解説|IT特化型3社
ウィルゲートM&A|Webマーケティング会社の売却に強い
ウィルゲートM&Aは、Webマーケティング支援会社・株式会社ウィルゲートが2019年に開始したM&A仲介サービスです。約20年のWebマーケティング事業で構築した経営者ネットワーク17,400社以上を活かし、IT・Web業界に特化したマッチングを行っています。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社ウィルゲート |
設立 | 2006年(M&Aサービスは2019年10月〜) |
着手金・中間金 | 0円 |
成功報酬 | レーマン方式(成約額2,000万円以下は10%、それ以上は金額レンジにより10〜1%) |
最低報酬 | 200万円 |
成約実績 | 累計86組、買い手企業5,600社以上登録 |
得意領域 | SES、受託開発、生成AI、デジタルマーケティング |
出典:ウィルゲートM&A公式サイト(2026年4月確認)
強み:
- 最低報酬200万円はIT特化型の中でも最安水準。小規模案件でもコスト負担を抑えられる
- Webマーケティング会社としての業界理解が深く、デジマ領域の買い手探索に強い
- 最速1.5ヶ月でのマッチング実績あり
注意点:
- M&Aサービス開始が2019年と、業歴は比較的浅い
- 大手と比べると成約件数はまだ少なく、大型案件(数十億円規模)の実績は限定的
こんな企業におすすめ: 年商数千万〜数億円のWebマーケティング会社・デジマ関連企業の売却を検討している経営者
おすすめしない企業: 年商10億円超の大型案件や、IT以外の買い手候補も幅広く探したい場合
GARAGE|IT領域に完全特化した仲介会社
GARAGEは、IT企業のM&Aに完全特化した仲介会社です。上場IT企業の95%以上とパートナーシップ提携を公式に掲げており、IT業界の買い手ネットワークに強みを持っています。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | エイジィ株式会社 |
設立 | 2016年(M&Aサービス) |
着手金・中間金 | 0円 |
成功報酬 | レーマン方式(売買金額ベース、1〜5%) |
最低報酬 | 500万円 |
成約実績 | IT領域80社超(2021年7月時点) |
得意領域 | IT企業全般(株式譲渡、Webサイト・アプリの事業譲渡) |
出典:GARAGE公式サイト、DreamNewsプレスリリース(2021年)
強み:
- IT企業のM&Aだけを扱う専門性の高さ
- 上場IT企業との幅広い接点により、買い手とのマッチング精度が高い
注意点:
- 最低報酬500万円は小規模案件には負担が大きい。成約額5,000万円未満の場合、手数料率が10%を超える計算になる
- 最新の成約実績数値(2022年以降)は公式サイトで確認できていない(2026年4月時点)
こんな企業におすすめ: 成約額5,000万円以上が見込めるIT企業で、IT業界内での売却先を探している場合
おすすめしない企業: 成約額が5,000万円未満のスモール案件(手数料率が割高になる)
パラダイムシフト|IT特化のM&Aアドバイザリーの先駆者
パラダイムシフトは2011年からIT領域特化のM&Aアドバイザリーを手がける先駆者的存在です。「DX領域特化M&A仲介」を標榜し、年間30〜40件のM&Aをサポートしています。国内IT企業約30,000社のうち10,000社強とのネットワークを持つと公式に発表しています。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社パラダイムシフト |
設立 | 2011年 |
手数料 | 非公開(要問い合わせ) |
対象規模 | 買収金額1億〜50億円 |
年間サポート件数 | 30〜40件 |
得意領域 | IT・DX領域全般 |
出典:パラダイムシフト公式サイト(2026年4月確認)
強み:
- 投資ファンド・弁護士・会計士出身のプロフェッショナルチームが在籍
- 事業部切り出し・株主集約など、複雑なスキームにも対応
- IT特化を10年以上継続しているため、業界ノウハウの蓄積が深い
注意点:
- 手数料が完全非公開のため、事前の費用比較が難しい。相談時に必ず見積もりを取ること
- アドバイザリー型のため、仲介型とは役割が異なる可能性がある。アドバイザリーは売り手側の立場で交渉を代行する形態で、仲介(売り手・買い手双方の間に入る形態)とは利益相反のリスクが異なる
こんな企業におすすめ: 売却額1億円以上が見込めるIT企業で、複雑なディール構造(事業切り出し等)が想定される場合
おすすめしない企業: 手数料を事前に比較して判断したい場合や、売却額が1億円未満の小規模案件
各社の詳細解説|大手IT専門チーム型3社
ストライク|IT・Web業界のM&A成約120件超の実績
ストライクは東証プライム上場のM&A仲介会社で、IT・Web業界だけで成約120件超・成約総額500億円以上の実績を持ちます。独自のM&Aプラットフォーム「SMART」を活用し、幅広い買い手候補とのマッチングを実現しています。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社ストライク |
設立 | 1997年 |
上場 | 東証プライム |
着手金・相談料 | 0円 |
成功報酬 | オーナー受取額レーマン方式 |
最低報酬 | 要問い合わせ |
IT業界成約 | 120件超、成約総額500億円超 |
対応業種 | システム開発、自社パッケージソフト、Web制作、SES、映像等 |
出典:ストライク公式サイト IT業界ページ(2026年4月確認)
強み:
- 「オーナー受取額レーマン」方式を採用。売り手のオーナーが実際に受け取る金額を基準に手数料を算出するため、一般的な「株式価値」や「総資産」基準と比較して手数料が抑えられる傾向がある
- 完全独立系(金融機関非系列)で、買い手候補に偏りがない
- 顧客満足度95%(公式発表)
- グループ全体で3,400件以上・創業28年以上の実績
注意点:
- 最低報酬額が非公開のため、小規模案件への対応姿勢は事前に確認が必要
- 大手のため、担当アドバイザーの質にはばらつきがある可能性
こんな企業におすすめ: 年商2億円以上のIT企業で、上場企業の信頼性と豊富な実績を求める場合
おすすめしない企業: 年商1億円以下の小規模IT企業(最低報酬が不明のため費用対効果を事前に判断しにくい)
関連記事: ストライクの詳細は「ストライクとは?手数料・強み・評判を徹底解説」をご覧ください。
日本M&Aセンター|IT業界累計350件超の圧倒的な実績
日本M&Aセンターは業界最大手のM&A仲介会社です。2014年にM&A仲介会社として初めてIT業界専門チームを設立し、IT業界だけで累計350件超の成約実績があります。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社日本M&Aセンターホールディングス |
設立 | 1991年 |
上場 | 東証プライム |
着手金 | あり |
成功報酬 | レーマン方式 |
最低報酬 | 要問い合わせ |
IT業界成約 | 累計350件超 |
対象規模 | 売上2億円未満〜20億円超まで |
出典:日本M&Aセンター公式サイト IT業界ページ(2026年4月確認)
強み:
- IT業界で累計350件超は業界最多水準。類似案件の経験値が高い
- 全国の税理士・会計士事務所との連携基盤があり、地方のIT企業の売却にも対応
- IT業界専門チームが約10年の歴史を持ち、業界特有の論点(キーマン条項、技術DD等)への知見が蓄積されている
注意点:
- 着手金が発生する(金額は要問い合わせ)。M&Aが成立しなかった場合でも返金されないのが一般的
- 手数料水準は業界最安ではない。コスト重視の場合は他社と比較検討を
こんな企業におすすめ: 年商数億〜数十億円規模のIT企業で、確実に成約させたい場合。とくに地方のIT企業や、異業種を含めた幅広い買い手候補を求める場合
おすすめしない企業: 着手金の負担を避けたい場合や、手数料を最小限に抑えたい小規模IT企業
関連記事: 日本M&Aセンターについて詳しくは「日本M&Aセンターとは?手数料・特徴・評判を解説」をご覧ください。
M&Aベストパートナーズ|IT特化アドバイザーが専任サポート
M&Aベストパートナーズは、IT業界を含む複数の業界に特化した専門チームを設けたM&A仲介会社です。全国8拠点を展開し、譲受企業候補15,000社超のネットワークを持っています。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社M&Aベストパートナーズ |
着手金 | 0円 |
中間報酬 | 250万円 or 成功報酬の10% |
成功報酬 | レーマン方式(株式価値ベース) |
最低報酬 | 要問い合わせ |
ネットワーク | 譲受企業候補15,000社超 |
拠点 | 全国8拠点 |
出典:M&Aベストパートナーズ公式サイト IT業界ページ(2026年4月確認)
強み:
- 株式価値ベースで手数料を算定。総資産ベースや移動総資産ベースと比べ、手数料が低くなる傾向がある
- 一気通貫の専任サポートで、初回相談から成約まで同じアドバイザーが担当
- 全国8拠点で地方のIT企業にも対応
注意点:
- 中間報酬(250万円または成功報酬の10%)が発生する。基本合意の段階で費用がかかるため、成約に至らなかった場合のリスクを理解しておく必要がある
- IT専門ではなく複数業界をカバーしているため、IT特化型と比べると業界理解の深さにはばらつきがある可能性
こんな企業におすすめ: 専任アドバイザーに一気通貫でサポートしてもらいたい中小IT企業
おすすめしない企業: 基本合意前に費用をかけたくない場合(中間報酬が発生するため)
各社の詳細解説|プラットフォーム型・テクノロジー活用型3社
M&Aクラウド|売り手は完全無料で利用できるプラットフォーム
M&Aクラウドは売り手側の手数料が完全無料という、業界でも珍しい料金体系のM&Aプラットフォームです。買い手企業が成約額の3%を負担する仕組みのため、売り手は一切の費用負担なくM&Aを進められます。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社M&Aクラウド |
設立 | 2015年 |
売り手の手数料 | 完全無料(着手金・中間金・成約手数料すべて0円) |
買い手の手数料 | 成約額の3% |
登録企業数 | 売り手8,900社以上、買い手2,000社以上 |
IT企業の利用率 | IT上場企業の約35%が利用 |
マッチング実績 | 月間約300マッチング、最短18日成約 |
出典:M&Aクラウド公式サイト、プレスリリース(2026年4月確認)
強み:
- 売り手完全無料は費用リスクをゼロにできる最大のメリット
- IT上場企業の約35%が買い手として登録しており、IT業界の買い手候補が豊富
- 買い手企業に直接コンタクトできるため、スピーディーな進行が可能
注意点:
- プラットフォーム型のため、専任アドバイザーによる手厚いサポートは期待しにくい。交渉や条件調整は基本的に自社で対応する必要がある
- M&Aの経験がない経営者にとっては、交渉力の面で不安が残る可能性がある
- 仲介型と違い、バリュエーション(適正売却額の算定)のサポートは限定的
こんな企業におすすめ: コストをかけずにM&Aを進めたいスタートアップ〜中小IT企業。M&Aの知識がある程度あり、自ら買い手と交渉できる経営者に向いている
おすすめしない企業: M&Aの交渉経験がなく、バリュエーションから条件交渉までアドバイザーに任せたい経営者
M&A総合研究所|AIマッチングで平均6.2ヶ月のスピード成約
M&A総合研究所は東証グロース上場のM&A仲介会社で、独自のAIマッチングシステムを活用したスピーディーな成約が特徴です。完全成功報酬制で、着手金・中間金・月額報酬はすべて0円です。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社M&A総合研究所 |
設立 | 2018年 |
上場 | 東証グロース |
着手金・中間金・月額 | すべて0円 |
成功報酬 | 完全成功報酬制(譲渡代金ベース) |
平均成約期間 | 6.2ヶ月 |
最短成約 | 49日 |
出典:M&A総合研究所公式サイト(2026年4月確認)
強み:
- 完全成功報酬制で、成約しなければ費用ゼロ。リスクを最小化できる
- AIマッチングにより平均6.2ヶ月、最短49日での成約を実現
- 東証グロース上場の信頼性
注意点:
- IT業界に特化した専門チームの有無は公式サイトで確認できていない(2026年4月時点)
- 汎用的なM&A仲介のため、SaaS・SESなどIT業界特有のバリュエーション手法に精通しているかは要確認
- 「譲渡代金ベース」の手数料算定基準は、他の基準と比べて金額が変わる場合がある(後述)
こんな企業におすすめ: スピード重視で売却を進めたい中小IT企業。IT特化よりも費用リスクの低さを重視する場合
おすすめしない企業: SaaS・SESなどIT特有の事業モデルに精通したアドバイザーを求める場合
関連記事: M&A総合研究所について詳しくは「M&A総合研究所とは?手数料・特徴を解説」をご覧ください。
fundbook|チェンジHD傘下のハイブリッド型M&A仲介
fundbookはテクノロジーを活用した「ハイブリッド型」M&A仲介会社です。2025年にDX企業のチェンジホールディングス(東証プライム3962)に買収・完全子会社化され、DX領域とのシナジーが期待されています。
基本情報:
項目 | 内容 |
|---|---|
運営会社 | 株式会社fundbook |
設立 | 2017年 |
親会社 | チェンジホールディングス(東証プライム3962) |
着手金・中間金 | 0円 |
成功報酬 | 完全成功報酬制(料率は要問い合わせ) |
IT業界実績 | 公式コラムで33事例を公開 |
出典:fundbook公式サイト(2026年4月確認)
強み:
- テクノロジーと人的サポートを組み合わせた「ハイブリッド型」で、プラットフォーム上で買い手企業が案件を閲覧できる
- チェンジHD傘下となったことで、DX・IT領域の買い手候補へのリーチが拡大する可能性
- IT業界の具体的な事例を多数公開しており、参考にしやすい
注意点:
- チェンジHDによる買収後、サービス体制や手数料に変更がある可能性。最新情報は直接確認を推奨
- 具体的な手数料率は公式サイトに明記されておらず、要問い合わせ
こんな企業におすすめ: DX領域のIT企業で、テクノロジー活用型の仲介サービスに興味がある場合
おすすめしない企業: 手数料を事前に明確に把握してから依頼先を決めたい場合
【重要】レーマン方式の「基準の違い」を理解する
IT企業の売却費用を比較するうえで、レーマン方式の計算基準の違いは非常に重要です。同じ「レーマン方式」「5%」と表示されていても、何を基準にするかで手数料が数百万〜数千万円変わります。
レーマン方式の主な計算基準
基準 | 説明 | 手数料の傾向 |
|---|---|---|
株式価値(純資産+営業権) | 売り手の純資産に営業権(のれん)を加えた額 | 低め |
オーナー受取額 | オーナーが実際に受け取る金額(役員借入金返済等を除く) | 低め |
譲渡代金 | 実際の売買価格 | 中程度 |
移動総資産 | 株式価値+負債総額 | 高め |
総資産 | 企業の総資産額 | 高め |
手数料シミュレーション(IT企業の売却額1億円のケース)
以下は成功報酬率5%の場合の比較例です(簡略化した概算)。
基準 | 計算対象額の目安 | 手数料の目安 |
|---|---|---|
オーナー受取額ベース | 8,000万円 | 約400万円 |
株式価値ベース | 1億円 | 約500万円 |
譲渡代金ベース | 1億円 | 約500万円 |
移動総資産ベース | 1億5,000万円 | 約750万円 |
※上記は概算であり、実際の計算はレーマン方式のテーブル(5億円以下5%、5億円超〜10億円4%…)に基づきます。有利子負債や現預金の状況により大幅に変動するため、必ず各社に具体的な見積もりを依頼してください。
ポイント: 仲介会社を比較する際は「レーマン方式」という名称だけでなく、何を基準に計算するのかを必ず確認しましょう。基準の違いだけで手数料が数百万円変わることは珍しくありません。
企業規模別おすすめの仲介会社

IT企業の売却では、自社の年商規模によって最適な仲介会社が変わります。以下を選定の目安として活用してください。
年商1億円以下(スモールM&A)
おすすめの会社 | 理由 |
|---|---|
M&Aクラウド | 売り手完全無料で費用リスクゼロ |
ウィルゲートM&A | 最低報酬200万円で小規模案件にも対応 |
この規模では、最低報酬の金額が重要な判断基準になります。成約額3,000万円に対して最低報酬500万円(手数料率約17%)では負担が大きすぎるため、最低報酬が低い会社か売り手無料のプラットフォームを優先して検討しましょう。
年商1〜10億円(ミドルM&A)
おすすめの会社 | 理由 |
|---|---|
ウィルゲートM&A | IT特化の業界理解+低コスト |
GARAGE | IT完全特化のネットワーク |
ストライク | 上場企業の信頼性+IT実績120件超 |
M&A総合研究所 | 完全成功報酬制でリスクが低い |
この規模帯はIT業界のM&Aで最もボリュームが多いゾーンです。IT特化型の業界理解と、大手のネットワーク力のどちらを重視するかで選択肢が変わります。2〜3社に並行して相談し、アドバイザーとの相性や提案内容を比較することを推奨します。
年商10億円以上(ラージM&A)
おすすめの会社 | 理由 |
|---|---|
日本M&Aセンター | IT業界350件超の圧倒的な実績 |
ストライク | IT成約総額500億円超の大型案件対応力 |
パラダイムシフト | 複雑なスキーム対応(事業切り出し等) |
この規模では、成約実績の豊富さと、複雑なディール対応力が最重要になります。着手金が発生しても、適切なバリュエーションで数億円高く売却できればトータルでは有利になるため、手数料の安さだけで判断しないことが重要です。
IT企業のM&Aで仲介会社を選ぶ5つのポイント
1. IT業界の成約実績を確認する
M&Aの成否は「買い手とのマッチング」で決まります。 IT業界の買い手候補をどれだけ抱えているかが、売却額と成約スピードに直結します。具体的には以下を確認してください。
- IT業界での成約件数(全体の件数ではなく、IT特化の数字)
- 過去の成約事例のうち、自社と同業種・同規模の案件があるか
- 買い手候補の登録企業数
2. 手数料の「計算基準」まで比較する
前述の通り、同じレーマン方式でも計算基準で金額は大きく変わります。「完全成功報酬制」「着手金ゼロ」だけでなく、以下の点を必ず確認しましょう。
- 成功報酬の計算基準(株式価値、総資産、譲渡代金、オーナー受取額、移動総資産)
- 最低報酬の金額
- 中間金の有無と金額
3. IT業界特有のバリュエーションに対応できるか
IT企業の価値評価は、一般的な中小企業とは異なります。以下の指標を適切に評価できるかどうかが、売却額を大きく左右します。
- SaaS企業: ARR(年間経常収益)、MRR(月間経常収益)、チャーンレート、NRR
- SES企業: エンジニア数、稼働率、単価、契約継続率
- 受託開発企業: 顧客ポートフォリオの分散度、リピート率、技術スタック
- メディア・Webサービス: PV、UU、会員数、ARPU
これらの指標を理解していない仲介会社に依頼すると、IT企業の本来の価値が正しく買い手に伝わらず、売却額が低くなるリスクがあります。
4. アドバイザーの業界経験を確認する
仲介会社のブランドだけでなく、実際に担当するアドバイザー個人のIT業界経験も重要です。初回面談で以下を確認することを推奨します。
- IT業界のM&Aを何件担当したか
- 自社と同業種の案件経験があるか
- IT企業のバリュエーションについてどのような手法を使うか
5. 仲介とアドバイザリー(FA)の違いを理解する
IT業界のM&A支援会社には「仲介」型と「アドバイザリー(FA)」型があります。
- 仲介型: 売り手・買い手の間に入り、双方の合意形成を支援。マッチング力が強みだが、利益相反のリスクがある
- FA型: 売り手の立場で交渉を代行。売り手の利益最大化に注力するが、買い手候補は自力で探す必要がある場合も
本記事で紹介した会社のうち、パラダイムシフトはアドバイザリー型に近いサービスを提供しています。自社の状況に応じて使い分けを検討してください。
関連記事: 仲介とFAの違いについて詳しくは「M&A FA(財務アドバイザー)とは?仲介との違いを解説」をご覧ください。
IT企業のM&Aで注意すべき5つのリスク

IT企業のM&Aには、他業種にはない特有のリスクがあります。仲介会社選びの際に、これらのリスクに対する知見があるかどうかも判断基準の一つです。
1. キーマン条項(ロックアップ)
M&A成立後、元オーナーやCTOなど主要人物に一定期間の在籍を義務づける条項です。IT企業ではCTOやリードエンジニアの離脱が事業価値を大きく毀損するため、1〜3年のロックアップが求められるケースが多いです。売却後の自由を重視する場合は、交渉段階でロックアップ期間と条件を慎重に調整する必要があります。
2. エンジニアの離職リスク
M&A後にエンジニアが大量離職すると、事業の継続が困難になります。買い手側もこのリスクを強く意識するため、エンジニアの定着率や労働環境が売却額に影響することがあります。M&A前にエンジニアの待遇改善や組織体制の整備を進めておくことが、売却額の最大化にもつながります。
3. ソースコードの知的財産権
受託開発やSaaS企業の場合、ソースコードの著作権が誰に帰属するかがデューデリジェンス(買収監査)の重要な論点になります。外注先や元従業員が書いたコードの権利関係が不明確だと、売却手続きが遅延したり、買い手が撤退するリスクがあります。
4. 技術的デューデリジェンス
IT企業の買収では、財務DDに加えて技術DD(テクニカルデューデリジェンス)が行われることがあります。ソースコードの品質、技術的負債、セキュリティ体制などが精査されるため、事前に技術面の棚卸しを行っておくことが重要です。
5. 契約・ライセンスの引き継ぎ
SaaS企業であれば顧客との利用契約、受託開発であれば保守契約、SESであれば業務委託契約の引き継ぎが必要です。契約上の「チェンジオブコントロール条項」(株主変更時の契約解除権)が含まれている場合は、事前に対処が必要です。
※上記のリスクへの対策は、M&A・法律・税務の専門家に相談することを強くおすすめします。キーマン条項や知的財産権に関する契約内容については、M&Aに精通した弁護士への確認が重要です。
IT業界のM&A売却額の相場
IT企業の売却を検討する際、自社がどのくらいの金額で売れるのかは最も気になるポイントです。一般的なIT企業のバリュエーション(企業価値評価)の相場感を整理します。
基本的な計算式
売却額の目安 = EBITDA × 倍率 + 現預金 − 有利子負債
ビジネスモデル | EBITDA倍率の目安 | 備考 |
|---|---|---|
SaaS(ストック型収益) | 5〜10倍 | ARRの成長率・チャーンレートで大きく変動 |
受託開発 | 3〜5倍 | 顧客の分散度・リピート率が影響 |
SES | 3〜6倍 | エンジニア数・単価・稼働率が評価基準 |
Web制作 | 2〜4倍 | ストック収入(保守契約等)の有無で変動 |
メディア・Webサービス | 3〜8倍 | PV・UU・収益の安定性で大きく変動 |
※上記は一般的な相場感であり、個別案件の条件・市場環境・買い手の事業戦略により大きく変動します。正確なバリュエーションは必ず仲介会社やFA、M&Aアドバイザーに依頼してください。
IT企業のM&Aでは、EBITDA倍率が3〜8倍が一般的な目安です。SaaS企業でARRが安定成長している場合や、ニッチ領域で高いシェアを持つ場合はそれ以上の倍率がつくこともあります。
※売却額の算定は税務・法務にも関わるため、最終的な判断はM&A専門の税理士・公認会計士にご相談ください。
関連記事: M&Aの費用や手数料について詳しくは「M&A費用の相場と手数料の仕組み」をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. IT業界のM&A仲介と一般的なM&A仲介の違いは何ですか?
IT業界のM&Aでは、SaaS、受託開発、SESなどビジネスモデルごとに企業価値の評価指標(ARR、エンジニア数、PV等)が異なります。IT業界に強い仲介会社は、これらの指標に基づいた適正なバリュエーションを行えるため、一般的な仲介会社よりも有利な売却条件を引き出しやすい傾向があります。
Q. IT特化型と大手の専門チーム型、どちらを選ぶべきですか?
年商1〜5億円規模であればIT特化型の方が手厚いサポートを受けやすく、年商10億円以上であれば大手のネットワーク力が活きる傾向があります。ただし、案件の特性(業種、希望条件、スピード感)によっても最適な選択は変わるため、両方のタイプから1社ずつ相談してみるのが最も確実な方法です。
Q. 売り手が完全無料のM&Aクラウドにデメリットはありますか?
M&Aクラウドは売り手無料のプラットフォーム型のため、専任アドバイザーによる手厚いサポートは仲介型と比べて限定的です。M&Aの交渉経験がない経営者が単独で条件交渉を進める場合、売却額が本来より低くなるリスクがあります。不安がある場合は、並行して仲介会社にも相談することを検討してください。
Q. IT企業のM&Aは成約までどのくらいかかりますか?
一般的に6ヶ月〜1年が目安です。M&A総合研究所では平均6.2ヶ月、ウィルゲートM&Aでは最速1.5ヶ月、M&Aクラウドでは最短18日の成約事例があります。ただし、これらは好条件が揃った場合の数字であり、デューデリジェンスや条件交渉が長引くケースも多いことは理解しておきましょう。
Q. 複数の仲介会社に同時に相談しても問題ありませんか?
問題ありません。むしろ2〜3社に並行相談することを推奨します。 専任契約(1社のみに依頼する契約)を求められる場合もありますが、初回相談や提案段階では複数社と話を進め、アドバイザーの質や提案内容を比較してから絞り込むのが一般的です。ただし、情報管理には十分注意してください。
まとめ|IT・Web業界のM&A仲介会社の選び方
IT・Web業界のM&Aでは、IT業界に精通した仲介会社を選ぶことが、適正な売却額の実現に直結します。最後に、選び方のポイントを整理します。
3つのタイプから自社に合うものを選ぶ:
- コストを抑えたい、小規模案件 → IT特化型(ウィルゲートM&A)またはプラットフォーム型(M&Aクラウド)
- 確実に成約させたい、中〜大規模案件 → 大手IT専門チーム型(ストライク、日本M&Aセンター)
- 複雑なスキームが必要 → IT特化アドバイザリー型(パラダイムシフト)
最低限やるべき3ステップ:
- 本記事の比較表で候補を2〜3社に絞る
- 各社の無料相談に申し込み、担当アドバイザーの業界経験を確認する
- 手数料の「計算基準」と「最低報酬」を具体的に確認してから、依頼先を決定する
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