【総合比較表】日本M&Aセンター vs M&A総合研究所

まず、両社の主要項目を一覧で比較します。
比較項目 | 日本M&Aセンター | M&A総合研究所 |
|---|---|---|
設立 | 1991年(創業35年) | 2018年(創業8年) |
上場市場 | 東証プライム(2127) | 東証プライム(9552) |
コンサルタント数 | 625名 | 502名 |
累計成約件数 | 9,500件超 | 非公表(直近3年で約4倍に急成長) |
売上高(直近期) | 377億円(2026年3月期Q3) | 166億円(2025年9月期通期) |
着手金 | あり(100〜300万円前後) | 無料(売り手) |
中間報酬 | あり | 無料(売り手) |
成功報酬の計算基準 | 時価総資産額ベース(負債含む) | 譲渡価格ベース(負債含まない) |
最低報酬額 | 2,000万円(税別) | 2,500万円 |
対象企業規模 | 中堅〜大企業(年商数億〜数百億円) | 中小〜中堅企業(売却規模100万〜10億円) |
成約までの期間 | 公式未公表(一般に6ヶ月〜1年) | 平均7.2ヶ月(最短43日) |
特徴 | 地銀・会計事務所との圧倒的ネットワーク | AI・DXによる効率的マッチング |
出典:日本M&Aセンター公式サイト(2026年4月4日確認)、M&A総合研究所公式サイト(2026年4月4日確認)、各社IR情報
両社とも「仲介形式(双方代理)」でM&Aを支援します。売り手・買い手の片方だけを代理するFA(ファイナンシャル・アドバイザー)とは異なる点にご注意ください。FAについて詳しくは「M&A FA(財務アドバイザー)とは?仲介との違いを解説」をご覧ください。
手数料体系の違い ― 計算基準で実質負担が変わる

両社の手数料で最も重要な違いは「成功報酬の計算基準」です。 料率テーブル(レーマン方式 5%〜1%)は同じですが、何に対して料率をかけるかが異なるため、同じ案件でも手数料の総額が大きく変わります。
計算基準の違い
項目 | 日本M&Aセンター | M&A総合研究所 |
|---|---|---|
計算基準 | 時価総資産額(株式価格+負債) | 譲渡価格(株式価格のみ) |
着手金 | あり(案件規模による) | 無料 |
中間報酬 | あり(成功報酬に充当) | 無料(売り手) |
最低報酬額 | 2,000万円(税別) | 2,500万円 |
【具体例】同じ会社を売却した場合の手数料シミュレーション
以下は、株式譲渡価格3億円・負債2億円の会社を売却するケースでの試算です。
日本M&Aセンターの場合:
- 計算基準:時価総資産額 = 3億円 + 2億円 = 5億円
- 成功報酬:5億円 × 5% = 2,500万円
- これに加え、着手金(100〜300万円前後)+中間報酬が発生
- 想定総額:約2,700万〜3,000万円程度
M&A総合研究所の場合:
- 計算基準:譲渡価格 = 3億円
- 成功報酬:3億円 × 5% = 1,500万円 → 最低報酬額2,500万円が適用
- 着手金・中間報酬:なし
- 想定総額:2,500万円
この例では、M&A総合研究所の方が約200万〜500万円安くなる計算です。ただし、負債が少ない(または無借金の)企業ほど計算基準の差は小さくなります。 逆に借入金が多い企業ほど、時価総資産額ベースとの差額が大きくなります。
※上記は概算です。実際の手数料は案件の詳細条件により異なります。正確な見積もりは各社に直接ご確認ください。手数料の仕組みをさらに詳しく知りたい方は「M&A費用・手数料の相場ガイド」も参考にしてください。
成約実績と業界ポジションの比較
成約実績では、日本M&Aセンターが業界で圧倒的な首位です。 一方、M&A総合研究所は創業からわずか数年で急成長しており、勢いのある新興勢力です。
日本M&Aセンターの実績
指標 | 数値 | 時期 |
|---|---|---|
累計成約件数 | 9,500件超 | 2025年3月末時点 |
年間成約件数 | 1,078件 | 2025年3月期 |
連結売上高(Q3累計) | 377.38億円(前年同期比+26.5%) | 2026年3月期 |
通期売上高予想 | 463億円 | 2026年3月期 |
ギネス世界記録 | M&A FA業務の年間取扱件数で5年連続認定 | — |
出典:日本M&Aセンター公式IR(2026年4月4日確認)
M&A総合研究所の実績
指標 | 数値 | 時期 |
|---|---|---|
成約件数の伸び | 直近3年で約4倍に急成長 | — |
連結売上高 | 166.0億円(前期比+0.3%) | 2025年9月期 |
成約平均期間 | 7.2ヶ月(最短43日) | 2025年9月期実績 |
Q4大型案件平均単価 | 7,500万円/件 | 2025年9月期Q4 |
出典:M&A総合研究所公式IR・2025年9月期決算説明資料(2026年4月4日確認)
ポイント: 日本M&Aセンターは累計9,500件超と、年間1,000件を超える安定した成約実績を持ちます。M&A総合研究所は2025年9月期に成長が一時鈍化しましたが、Q4ではV字回復の兆しが見られました。なお、2026年1月に持株会社名を「クオンツ総研ホールディングス」に変更していますが、M&A仲介事業は引き続き「M&A総合研究所」ブランドで運営されています。
対象企業規模とサービスの違い

両社のサービスは、対象とする企業規模と強みが明確に異なります。
日本M&Aセンターの特徴
- 対象規模: 中堅〜大企業が中心(年商数億〜数百億円規模)
- 強み: 地方銀行約90%・信用金庫約80%・会計事務所1,090社超との提携ネットワーク。事業承継案件に特に強い
- サポート体制: 法務・会計・税務・PMI(M&A後の統合支援)の専門チームによるワンストップ対応
- 海外展開: ASEAN5ヶ国(シンガポール・インドネシア・ベトナム・マレーシア・タイ)に拠点あり。クロスボーダーM&Aにも対応
- 拠点数: 国内7拠点+サテライトオフィス15ヶ所
M&A総合研究所の特徴
- 対象規模: 中小〜中堅企業が中心(売却規模 約100万〜約10億円)
- 強み: AIマッチングシステムとDXによるプロセス効率化。成約までの期間が平均7.2ヶ月と比較的短い
- サポート体制: 専任アドバイザー制。テクノロジーを活用した効率的な案件進行
- 料金面: 完全成功報酬制(売り手)で初期費用リスクなし
- 拠点数: 国内9拠点(東京・大阪・名古屋・福岡・沖縄・札幌・高崎・仙台・シンガポール)
両社の強みと注意点
日本M&Aセンターの強み
- 圧倒的な成約実績 — 累計9,500件超は業界随一。豊富な事例データベースにより、幅広い業種・規模の案件に対応できる
- 金融機関・会計事務所ネットワーク — 地銀約90%との提携により、地方の案件でも買い手候補を見つけやすい
- ワンストップ体制 — 法務・税務・PMIまで社内の専門チームが支援。M&A後の統合まで含めたサポートが受けられる
- 事業承継の専門知識 — 後継者問題に関するセミナーやイベントを多数開催しており、事業承継案件のノウハウが蓄積されている
日本M&Aセンターの注意点
- 着手金・中間報酬が必要 — M&Aが成約しなかった場合でも着手金が返金されない可能性がある
- 計算基準が時価総資産額ベース — 負債が多い企業は成功報酬が高額になりやすい
- 中小企業(年商数千万円〜1億円台)には割高になることがある — 最低報酬2,000万円+着手金は、小規模案件では売却益に対して大きな負担になる
- 2022年に不正会計問題が報道された — その後ガバナンス改革を実施しているが、経緯を把握しておくべき
M&A総合研究所の強み
- 完全成功報酬制(売り手) — 着手金・中間報酬が無料のため、M&Aが成約しなければ費用が発生しない。初めてのM&Aでもリスクを抑えて始められる
- 譲渡価格ベースの計算 — 負債を含まない計算基準のため、借入金が多い企業では手数料が抑えられる傾向がある
- AI・DXの活用 — AIマッチングシステムにより、候補企業の探索が効率化されている
- 成約スピード — 平均7.2ヶ月、最短43日での成約実績がある
M&A総合研究所の注意点
- 最低報酬額は2,500万円 — 日本M&Aセンター(2,000万円)より高い。小規模案件ではこの最低報酬が適用される可能性が高い
- 歴史が浅い — 2018年創業のため、累計成約件数は日本M&Aセンターと比較すると限定的
- 2025年9月期は成長鈍化 — 営業利益が前期比-41%と減益しており、業績の安定性は注視が必要
- 買い手側の料金体系は要確認 — 完全成功報酬制は売り手に限った条件であり、買い手側は別途確認が必要
企業規模・状況別|どちらを選ぶべきか

最も重要な判断基準は「自社の規模」と「何を重視するか」です。 以下のフローで自社に合った仲介会社を判断してください。
日本M&Aセンターがおすすめの企業
条件 | 理由 |
|---|---|
年商5億円以上の中堅〜大企業 | 豊富な実績とネットワークが活きる規模帯。着手金の負担も売却額に対して相対的に小さい |
事業承継が主目的 | 事業承継案件に特に強く、セミナー等の情報提供も充実 |
地方に本社がある企業 | 地銀・信金・会計事務所との提携ネットワークで、地方の買い手候補にもリーチできる |
PMI(M&A後の統合)支援も必要 | グループ内にPMI専門チームがあり、成約後のサポートまで一貫対応 |
クロスボーダーM&Aを検討 | ASEAN5ヶ国の拠点を活用した海外M&Aにも対応 |
実績重視で安心感を求める | 業界最多の累計9,500件超の実績は、交渉経験の豊富さの裏付け |
M&A総合研究所がおすすめの企業
条件 | 理由 |
|---|---|
年商1億〜5億円程度の中小企業 | 完全成功報酬制で初期費用リスクなし。小規模案件にも対応 |
初めてのM&Aで不安がある | 成約しなければ費用が発生しないため、「とりあえず相談」のハードルが低い |
借入金が多い企業 | 譲渡価格ベースの計算基準により、負債を含めない分だけ手数料が抑えられる |
スピードを重視する | 平均7.2ヶ月の成約期間は業界水準と比較して短め |
テクノロジー活用に関心がある | AIマッチングによる効率的な候補探索 |
着手金の負担を避けたい | 不成約時の費用リスクがゼロ |
どちらもおすすめしないケース
以下のケースでは、両社以外の選択肢も検討することをおすすめします。
- 年商数千万円以下の小規模案件 — 最低報酬額(2,000万〜2,500万円)が売却額に対して大きすぎる場合がある。マッチングプラットフォーム型(バトンズ等)の方が費用対効果が高い可能性がある
- 売り手専属のアドバイザーが必要 — 両社とも仲介形式(双方代理)のため、売り手だけの利益を代理するFA(ファイナンシャル・アドバイザー)を希望する場合は別の選択肢が必要
- 特定業界に特化した支援が必要 — IT・医療・建設など特定業界の専門知識を持つブティック型のM&Aアドバイザーの方が適切な場合がある
M&A仲介会社の選び方全般については「M&A仲介会社の選び方ガイド」で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 両社に同時に相談することはできますか?
はい、複数の仲介会社に同時に相談することは一般的です。ただし、仲介契約(アドバイザリー契約)を締結する際は、通常1社と独占契約を結びます。まずは両社に無料相談を行い、担当者との相性や提案内容を比較してから契約先を決めることをおすすめします。
Q. 日本M&Aセンターの着手金は返金されますか?
現時点の公式情報では、着手金は調査・資料作成の実費に充てられるため、M&Aが不成約となった場合でも返金されない可能性があります。契約前に返金条件を必ず確認してください。
Q. M&A総合研究所の「完全成功報酬制」は本当に費用がかからないのですか?
売り手に限り、着手金・中間報酬が無料です。M&Aが成約した場合にのみ成功報酬が発生します。ただし、最低報酬額は2,500万円であり、成約時にはこの金額以上の支払いが必要です。また、買い手側の料金体系は異なる場合があるため、買い手としてM&Aを検討する際は別途確認が必要です。
Q. レーマン方式の計算基準の違いは、手数料にどのくらい影響しますか?
負債が大きい企業ほど影響が大きくなります。たとえば株式価格3億円・負債2億円の会社の場合、日本M&Aセンター(時価総資産額5億円ベース)とM&A総合研究所(譲渡価格3億円ベース)で、成功報酬だけでも数百万円の差が出ることがあります。詳しくは本記事の「手数料体系の違い」セクションのシミュレーションを参照してください。
Q. 中間報酬は最終的にどうなりますか?
日本M&Aセンターの中間報酬は、基本合意締結時に発生しますが、最終的に成功報酬に充当されます。つまり、成約した場合は成功報酬の一部前払いという位置づけです。ただし、基本合意後にM&Aが不成約になった場合、中間報酬の返金可否は契約内容によります。
まとめ ― 自社の規模と優先事項で選ぶ
日本M&AセンターとM&A総合研究所は、M&A仲介という同じ事業を行いながら、強みと料金体系が明確に異なります。
日本M&Aセンターを選ぶべき場面: 年商5億円以上の中堅〜大企業、事業承継案件、地方企業、PMI支援が必要なケース。実績の豊富さとネットワークの広さが最大の武器です。
M&A総合研究所を選ぶべき場面: 年商1億〜5億円の中小企業、初めてのM&A、着手金を避けたいケース。完全成功報酬制による初期費用リスクゼロが最大のメリットです。
どちらを選ぶにしても、M&Aは企業の将来を左右する重要な意思決定です。まずは両社の無料相談を活用し、自社の状況に合った提案を受けてから判断することをおすすめします。
※手数料体系やサービス内容は変更される可能性があるため、最新情報は各社の公式サイトをご確認ください。M&Aに関する法務・税務の判断は、弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。
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