M&A仲介会社を売上高で見ると、日本M&Aセンター(約440億円)が業界トップで、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、M&A総合研究所が続きます。 ただし、売上高ランキングの上位=あなたの会社に合う仲介会社とは限りません。手数料の計算方式や得意とする案件規模が各社で異なるため、自社の条件に合った会社を選ぶことが重要です。
この記事でわかること:
- 大手M&A仲介会社5社の売上高・手数料・実績の比較
- レーマン方式の「計算ベースの違い」で手数料がどれだけ変わるか
- 企業規模・重視ポイント別の仲介会社の選び方
- 仲介契約で確認すべき注意点(専任条項・テール条項)
この記事は、会社の売却を検討している中小企業の経営者・オーナー向けです。 買い手(買収側)向けの情報ではなく、「自分の会社を売る場合にどの仲介会社を選ぶべきか」に焦点を当てています。
M&A仲介会社 大手5社 売上高ランキング【2025年3月期】

M&A仲介会社の規模感を把握するうえで、売上高は一つの指標になります。以下は上場企業の直近決算(2025年3月期)に基づくランキングです。
順位 | 会社名 | 売上高 | 上場市場 | 設立年 | 累計成約件数 |
|---|---|---|---|---|---|
1位 | 日本M&Aセンター | 約440億円 | 東証プライム | 1991年 | 10,000件以上 |
2位 | M&Aキャピタルパートナーズ | 約192〜252億円 | 東証プライム | 2005年 | 1,000件以上 |
3位 | ストライク | 約181〜203億円 | 東証プライム | 1997年 | 3,200件以上 |
4位 | M&A総合研究所 | 約165億円 | 東証プライム | 2018年 | 非公開 |
5位 | fundbook | 非公開(非上場) | 非上場 | 2017年 | 非公開 |
※売上高は連結・単体の違いにより複数ソースで若干異なります。
出典: 各社IR情報・有価証券報告書(2025年3月期)、freeconsul.co.jp、TRANBI(2026年4月確認)
ただし、売上高が大きい=売り手にとって最適とは限りません。 売上高は買い手側からの手数料も含んだ数字であり、「売り手としてどれだけ手厚いサポートを受けられるか」「自社の規模に合っているか」は別の問題です。
次のセクション以降では、売り手の立場から本当に重要な比較ポイントを解説します。
大手5社の手数料体系を徹底比較

M&A仲介の手数料は「レーマン方式」が業界標準ですが、計算のベースとなる金額が会社ごとに異なります。 この違いだけで、同じ案件でも手数料が数百万〜数千万円変わるため、必ず確認してください。
手数料一覧比較表
会社名 | 着手金 | 中間金 | 成功報酬の計算ベース | 最低報酬額 |
|---|---|---|---|---|
日本M&Aセンター | あり(金額非公開) | 未公開 | 移動総資産ベース | 非公開 |
M&Aキャピタルパートナーズ | 無料 | あり(報酬の約10%) | 株価ベース | 未公開 |
ストライク | 無料 | あり(詳細非公開) | 未公開 | 2,000万円 |
M&A総合研究所 | 無料 | 無料(売り手のみ) | 譲渡価格ベース | 1,500万円 |
fundbook | 無料 | 無料 | 時価総資産ベース | 未公開 |
出典: 各社公式サイト(2026年4月2日確認)
レーマン方式の料率表(各社共通)
レーマン方式の料率自体は各社ほぼ同じです。
取引金額の区分 | 料率 |
|---|---|
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超〜10億円以下 | 4% |
10億円超〜50億円以下 | 3% |
50億円超〜100億円以下 | 2% |
100億円超 | 1% |
重要なのは「何に対して料率をかけるか」です。 料率が同じでも、計算ベースが異なれば手数料は大きく変わります。
計算ベースの違い — なぜ手数料が変わるのか
レーマン方式の計算ベースには主に3つのパターンがあります。
- 時価総資産ベース(日本M&Aセンター、fundbook): 株式価値に加えて負債も含めた企業全体の資産額に料率をかける。手数料が最も高くなりやすい
- 株価ベース(M&Aキャピタルパートナーズ): 実際の株式譲渡価額のみに料率をかける。負債を含まないため手数料が低くなる
- 譲渡価格ベース(M&A総合研究所): 実際に売り手が受け取る譲渡対価に料率をかける。売り手にとって分かりやすい
【具体例】同じ案件で手数料はどれだけ変わるか
以下は「株式譲渡価額3億円・有利子負債2億円(時価総資産5億円)」の会社を売却した場合のシミュレーションです。
計算ベース | 対象金額 | 成功報酬(概算) | 代表的な会社 |
|---|---|---|---|
時価総資産ベース | 5億円 | 2,500万円 | 日本M&Aセンター |
株価ベース | 3億円 | 1,500万円 | M&Aキャピタルパートナーズ |
譲渡価格ベース | 3億円 | 1,500万円 | M&A総合研究所 |
※5億円以下は一律5%で計算。実際の手数料は着手金・中間金の有無や最低報酬額の適用により異なります。
同じ案件でも計算ベースの違いだけで1,000万円の差が出る可能性があります。 仲介会社に相談する際は、必ず「成功報酬の計算ベースは何ですか?」と確認してください。
なお、M&Aの手数料体系の詳細については「M&A費用の相場と手数料の仕組み」で詳しく解説しています。
大手5社の特徴・強み・弱みを比較

売上高や手数料だけでなく、各社の得意分野やサービス体制も仲介会社選びでは重要です。ここでは各社の特徴を売り手の視点から整理します。
日本M&Aセンター — 業界最大手・圧倒的なネットワーク
強み:
- 累計成約10,000件以上、年間1,078件の実績(ギネス世界記録™認定・5年連続)
- 全国1,090の会計事務所・317の地方銀行との提携ネットワーク
- 中堅〜中小企業のM&Aに幅広く対応
- PMI(統合後支援)まで一気通貫のサポート
注意点:
- 着手金が発生する(金額は案件ごとに異なり非公開)
- 成功報酬は時価総資産ベースのため、負債が多い企業では手数料が高めになる
- 大手のため、小規模案件では担当者のリソース配分が気になるケースもある
こんな企業におすすめ: 年商5億円以上の中堅企業で、全国規模の買い手候補から幅広くマッチングしたい場合。地方企業で地銀・会計事務所経由の紹介を期待する場合にも強い。
出典: 日本M&Aセンター公式サイト(https://www.nihon-ma.co.jp/)2026年4月確認
M&Aキャピタルパートナーズ — 株価ベースで手数料を抑えやすい
強み:
- 着手金無料
- 成功報酬が株価ベースのため、負債が多い企業では手数料が割安になりやすい
- 専任担当制(初期相談から成約まで同じアドバイザーが一貫対応)
- アドバイザー1人あたりの生産性が業界トップクラス
注意点:
- 中間金が発生する(成功報酬の約10%)
- 中堅〜大型案件が中心で、年商1億円以下の小規模案件は対応が限られる可能性がある
- 最低報酬額が未公開のため、事前に確認が必要
こんな企業におすすめ: 年商3億〜数十億円の中堅企業で、有利子負債がある程度あり手数料を抑えたい場合。担当者の一貫対応を重視する場合。
出典: M&Aキャピタルパートナーズ公式サイト(https://www.ma-cp.com/)2026年4月確認
ストライク — オンラインマッチング×公認会計士のハイブリッド
強み:
- 着手金無料
- M&Aマッチングサイト「SMART」を運営し、オンラインでの買い手探索にも対応
- 特許取得のデータマッチングシステム
- 公認会計士が多数在籍し、財務面の分析に強み
- 累計成約3,200件以上
注意点:
- 成功報酬の計算ベースが公式サイト上で明確に開示されていない
- 中間金が発生する(詳細は非公開)
- オンラインマッチングの特性上、対面での交渉よりデジタル面が重視される印象
こんな企業におすすめ: IT・テクノロジー系の企業、またはオンラインでの効率的なマッチングを重視する企業。財務面の分析を重視したい場合にも向いている。
出典: ストライク公式サイト(https://www.strike.co.jp/)2026年4月確認
M&A総合研究所 — 売り手は完全成功報酬制・AIマッチング
強み:
- 売り手は完全成功報酬制(着手金・中間金ともに無料)
- 成功報酬の計算ベースが譲渡価格ベースで売り手に有利
- AIマッチングアルゴリズムで平均成約期間7.2ヶ月(最短43日の実績あり)
- 2018年設立ながら東証プライム上場、売上165億円と急成長中
- 年間相談件数15,000件以上
注意点:
- 最低報酬額が1,500万円と明示されている(売買金額3億円以下の場合に適用)
- 2018年設立で歴史は浅く、超大型案件の実績は大手3社に比べると少ない
- 急成長中のため、アドバイザーの経験年数にばらつきがある可能性
こんな企業におすすめ: 年商1億〜10億円程度の中小企業で、初期費用をかけずにM&Aを進めたい場合。スピード重視で成約を目指したい場合にも適している。
出典: M&A総合研究所公式サイト(https://masouken.com/)2026年4月確認
fundbook — テクノロジー×人のハイブリッド型
強み:
- 完全成功報酬制(着手金・中間金ともに無料)
- テクノロジーと人の両面でマッチングを実施
- 約4,000社の登録企業ネットワーク
- 中小企業の事業承継案件に注力
注意点:
- 成功報酬は時価総資産ベースのため、負債が多い企業では手数料が高めになる可能性
- 非上場のため財務情報が限定的
- 成約実績の累計件数が未公開
こんな企業におすすめ: 中小企業のオーナーで、初期費用なしでM&Aを検討したい場合。テクノロジーを活用した効率的なマッチングに期待する場合。
出典: fundbook公式サイト(https://fundbook.co.jp/)2026年4月確認
企業規模別|M&A仲介会社の選び方

仲介会社は「大手だから安心」とは限りません。自社の年商規模によって、合う仲介会社は変わります。
年商1億円以下の小規模企業
小規模案件では、最低報酬額の影響が非常に大きくなります。 たとえば最低報酬額が2,000万円の仲介会社に、譲渡価額5,000万円の案件を依頼すると、手数料率は実質40%になります。
おすすめの選び方:
- 最低報酬額が低い(または明示されている)仲介会社を選ぶ
- M&Aマッチングプラットフォーム(バトンズ等)の併用も検討する
- 事業承継引継ぎ支援センター(各都道府県の公的相談窓口)に相談する
注意: 大手仲介会社は中堅〜大型案件に強みがあるため、小規模案件は優先度が下がる可能性があります。
年商1億〜5億円の中小企業
この規模帯は多くの仲介会社が対応しているボリュームゾーンです。
おすすめの選び方:
- 完全成功報酬制の会社を優先的に検討する(M&A総合研究所、fundbook等)
- 着手金の有無・最低報酬額を確認し、初期コストとトータルコストのバランスで判断
- 自社の業種に強い仲介会社があれば優先する
年商5億〜30億円の中堅企業
中堅企業は大手仲介会社のメインターゲット層です。選択肢が最も多い規模帯なので、手数料の計算ベースとサポート体制で比較するのが効果的です。
おすすめの選び方:
- 複数社(2〜3社)に相談し、担当アドバイザーの質・提案内容を比較する
- レーマン方式の計算ベースの違いで手数料を比較する
- 専任担当か分業制かを確認する(経営者にとっては一貫対応のほうが負担が少ないことが多い)
年商30億円以上の大型案件
大型案件では、仲介会社だけでなくFA(財務アドバイザー)の起用も検討すべきです。
おすすめの選び方:
- 大型案件の実績が豊富な日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズを中心に検討
- FAとの併用や、投資銀行系アドバイザリーも視野に入れる
- 「仲介」と「FA」の違いを理解したうえで、どちらが自社に合うか判断する
FAと仲介の違いについては「M&A FA(財務アドバイザー)とは?仲介との違い」で解説しています。
仲介会社を選ぶ前に確認すべき7つのポイント

M&A仲介会社を選ぶ際は、ランキングや知名度だけでなく、以下の7つを必ず確認してください。中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版(2024年8月改訂)でも、仲介会社には手数料やプロセスの説明義務が明確化されています。
1. 手数料体系の透明性
着手金・中間金・成功報酬のそれぞれの有無と金額を確認します。特にレーマン方式の計算ベース(時価総資産・株価・譲渡価格のどれか)は、手数料総額を大きく左右する最重要ポイントです。
「成功報酬のみ」と言われても、計算ベースが時価総資産であれば手数料は割高になります。必ず「何に対して料率をかけるのか」を確認してください。
2. 自社の規模・業種に合った実績
大型案件が得意な仲介会社に小規模案件を持ち込んでも、担当者のリソースが十分に割かれない可能性があります。逆もまた同様です。
確認すべきポイント:
- 自社と同規模の成約実績があるか
- 自社の業種での成約経験があるか
- 同業種のM&Aで注意すべき点を理解しているか
3. 担当アドバイザーの経験と質
会社全体の実績が豊富でも、実際に担当するアドバイザーの力量は別問題です。中小M&Aガイドライン第3版では、担当者の保有資格・経験年数・成約実績の開示が仲介会社に求められています。
- 担当アドバイザーの成約件数・経験年数を聞く
- 初回面談で自社の業界に対する理解度を確認する
- 必要に応じて担当者の変更が可能か事前に確認する
4. M&A支援機関登録の有無
中小企業庁の「M&A支援機関登録制度」に登録されている仲介会社を選ぶことで、事業承継引継ぎ補助金の利用対象になります。登録の有無は中小企業庁のウェブサイトで確認できます。
登録されている仲介会社は、ガイドラインの遵守が求められるため、一定の品質基準を満たしていると判断する材料になります。
5. 契約条件(専任条項・テール条項)
仲介契約には、注意すべき条項がいくつかあります。
- 専任条項: 他の仲介会社への並行依頼を禁止する条項。専任で依頼する場合、その仲介会社のネットワークに限定されるリスクがある
- テール条項: 契約終了後も一定期間内にM&Aが成立した場合に報酬が発生する条項。期間が長すぎないか確認が必要
- 契約期間・中途解約: 解約条件や違約金の有無を事前に確認する
中小M&Aガイドライン第3版では、テール条項の期間を適切に設定することが求められています。
※契約条件の詳細は法的な内容を含むため、不明点がある場合はM&Aに詳しい弁護士への相談をおすすめします。
6. サポート範囲
仲介会社によって、サポートの範囲は異なります。
- 企業価値評価(バリュエーション)を実施してくれるか
- デューデリジェンス(買い手側の調査)の支援はあるか
- PMI(統合後の移行支援)まで対応しているか
- 法務・税務の専門家との連携体制はあるか
特に売り手の場合、企業価値評価の妥当性が売却価格に直結するため、バリュエーションの実施体制は重要な確認ポイントです。
7. 買い手候補のネットワーク
仲介会社の価値は、適切な買い手を見つけられるかどうかにかかっています。
- 買い手候補データベースの規模(登録企業数)
- 自社の業界に関心のある買い手とのつながり
- 地方・海外の買い手候補へのアクセス
- マッチングの方法(人力か、AIやシステムを活用しているか)
仲介会社との契約前に注意すべきこと
仲介会社を選んだ後、実際に契約する段階でも注意すべき点があります。ここを見落とすと、後からトラブルになるケースがあります。
利益相反のリスクを理解する
M&A仲介会社は、売り手・買い手の双方から報酬を受け取るビジネスモデルです。このため、構造的な利益相反が存在します。
たとえば、仲介会社が「早く成約させたい」と考えた場合、売り手にとって必ずしも最善とは言えない条件での成約を促す可能性がゼロではありません。
中小M&Aガイドライン第3版では、この利益相反リスクに対し、情報の取り扱いに関する禁止事項が明確化されました。仲介会社がガイドラインを遵守しているかどうかは、信頼性の判断材料になります。
複数社への相談を検討する
専任条項がない段階(仲介契約締結前)であれば、複数の仲介会社に相談することをおすすめします。
- 各社の初回面談・提案内容を比較できる
- 企業価値評価のアプローチの違いを確認できる
- 担当アドバイザーとの相性を判断できる
ただし、仲介契約を締結した後に専任条項がある場合は、他社への並行依頼はできなくなります。契約前の比較検討が重要です。
書面で確認すべき項目
以下は契約締結前に必ず書面で確認すべき項目です。
- 手数料の計算方法と具体的な金額(シミュレーション)
- 着手金・中間金・成功報酬の発生タイミング
- 専任条項の有無と範囲
- テール条項の期間
- 中途解約の条件と違約金
- 秘密保持の範囲
- 提供されるサービスの具体的内容
※仲介契約の内容には法務面で注意すべき点が多いため、M&Aに詳しい弁護士への相談をおすすめします。 契約書のチェックは専門家の目を通しておくと安心です。
こんな企業におすすめ/おすすめしないケース
日本M&Aセンターが向いている企業
- 年商5億円以上で、全国規模の買い手候補から幅広く探したい
- 地方の企業で、地銀や会計事務所との連携を活用したい
- M&A後の統合支援(PMI)まで含めたサポートがほしい
- 実績の豊富さと業界最大手の安心感を重視する
M&Aキャピタルパートナーズが向いている企業
- 有利子負債がある程度あり、株価ベースで手数料を抑えたい
- 初期相談から成約まで同じアドバイザーに担当してほしい
- 年商3億〜数十億円の中堅規模で、着手金をかけたくない
ストライクが向いている企業
- IT・テクノロジー系の事業を売却したい
- オンラインマッチングの効率性に期待する
- 財務分析に強い仲介会社を選びたい(公認会計士が多数在籍)
M&A総合研究所が向いている企業
- 初期費用を一切かけずにM&Aを始めたい(完全成功報酬制)
- スピード重視で、なるべく早く成約を目指したい
- 年商1億〜10億円の中小企業
fundbookが向いている企業
- 初期費用なしでM&Aを進めたい
- テクノロジーを活用した効率的なマッチングを期待する
- 事業承継をメインの目的としている中小企業
おすすめしないケース(仲介会社全般)
以下のケースでは、仲介会社ではなく別の選択肢を検討した方がよい場合があります。
- 年商数千万円以下の小規模事業: M&Aマッチングプラットフォーム(バトンズ等)や事業承継引継ぎ支援センターの方が適している場合が多い
- 売却を急いでいない場合: まずは事業承継引継ぎ支援センター(無料)で相談し、全体像を把握してから仲介会社への依頼を検討しても遅くない
- 特定の買い手候補が既に決まっている場合: 仲介ではなくFA(財務アドバイザー)に依頼する方が、売り手の利益を最大化できる可能性がある
M&A仲介とFAの違いについては「M&A FA(財務アドバイザー)とは?」をご覧ください。
M&A仲介会社を利用するメリット・デメリット
仲介会社に依頼するかどうかを判断するために、メリットとデメリットを整理します。
メリット
- 買い手候補を広く探せる: 自社だけでは接点のない企業とのマッチングが可能
- 交渉を第三者が仲介: 売り手・買い手の直接交渉による感情的な対立を防げる
- 専門的な手続きをサポート: デューデリジェンス、契約書作成、企業価値評価などの専門業務を任せられる
- 秘密保持が担保される: 売却検討の情報が従業員や取引先に漏れるリスクを軽減できる
- 成約率が上がる: 仲介のプロが入ることで、条件交渉や手続きがスムーズに進みやすい
デメリット
- 手数料が高額: レーマン方式の手数料は、小規模案件でも最低1,000万円以上になることが多い
- 利益相反のリスク: 売り手と買い手の双方から報酬を受け取るため、必ずしも売り手の利益だけを優先するとは限らない
- 仲介会社によって質にばらつきがある: 会社の看板だけでなく、担当アドバイザー個人の力量にも大きく左右される
- 専任条項による制約: 契約後は他社に並行依頼できなくなる場合がある
よくある質問(FAQ)
Q. M&A仲介会社は何社くらいに相談すべき?
仲介契約を締結する前の段階で、2〜3社に相談するのが一般的です。初回面談(多くの場合は無料)で、担当者の質・提案内容・手数料体系を比較し、自社に最も合う会社を選びます。ただし、仲介契約に専任条項がある場合、契約後は1社のみとの取引になります。
Q. 着手金無料の仲介会社は、なぜ無料にできるのか?
着手金無料の仲介会社は、成功報酬で収益を確保するビジネスモデルです。成約しなければ報酬がゼロになるため、成約見込みの高い案件を優先する傾向があります。「着手金無料=お得」とは限らず、最低報酬額や成功報酬の計算ベースも含めたトータルコストで比較することが重要です。
Q. M&A仲介会社に依頼してから成約までどのくらいかかる?
一般的には6ヶ月〜1年程度が目安です。M&A総合研究所は平均7.2ヶ月(最短43日)の実績を公表しています。ただし、業種・規模・売却条件によって大きく変動するため、あくまで目安として考えてください。
Q. 中小M&Aガイドラインとは何ですか?
中小企業庁が策定した、M&A仲介会社やFAが守るべき行動指針です。2024年8月に第3版が改訂され、手数料の詳細説明義務、利益相反防止、テール条項の適切な設定などが明確化されました。仲介会社を選ぶ際、ガイドラインに準拠しているかどうかは信頼性の判断材料になります。
出典: 中小企業庁「中小M&Aガイドライン」第3版(2024年8月30日改訂)
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/m_and_a_guideline.html
Q. 「M&A支援機関登録制度」に登録されていない会社は避けた方がいい?
登録されていないからといって、必ずしも質が低いわけではありません。ただし、事業承継引継ぎ補助金を利用する場合は、登録されたFA・仲介業者への依頼が前提条件です。補助金の利用を検討している場合は、登録会社を選ぶ必要があります。
まとめ|仲介会社選びで後悔しないために
M&A仲介会社の選び方で最も大切なのは、売上高ランキングの順位ではなく、自社の規模・業種・条件に合った会社を選ぶことです。
仲介会社選びの3つの重要ポイント:
- 手数料の計算ベースを確認する — 同じレーマン方式でも、時価総資産ベース・株価ベース・譲渡価格ベースで手数料が大きく変わる
- 自社の規模に合った会社を選ぶ — 大手が必ずしも最適とは限らない。年商1億円以下なら仲介会社以外の選択肢も検討する
- 契約条件を事前に確認する — 専任条項・テール条項・中途解約条件は契約前に必ず書面で確認する
会社の売却は一生に一度の大きな意思決定です。焦って仲介会社を決めるのではなく、複数社に相談し、納得したうえで仲介契約を締結してください。
M&A仲介会社の比較・選び方の全体像については「M&A仲介会社の選び方ガイド」も参考にしてください。また、手数料の詳細な比較は「M&A費用の相場と手数料の仕組み」で解説しています。
